研究概要 |
本年度は、まず、運動部離れのメカニズムに関する理論的解釈を進め、その論考に基づいた上で、質問紙を作成する手順とした。小学生ならばスポーツ少年団、中学生ならば運動部など、いわゆる組織的スポーツの参加者にみられる脱退(withdrawal)は、ドロップアウト、トランスファー、バーンアウトに分類できる。ここで、社会的交換理論に準拠する、費用便益分析、最低満足水準、選択比較水準の条件を設定するならば、単一スポーツ参加、重複スポーツ参加の効用性は、ドロップアウト、トランスファーの理解の手助けとなり、したがって、このグループの解釈には、選択比較水準設定が妥当であることを確認した。 さらに、運動部離れとなるドロップアウト、トランスファー、バーンアウトを特定するためには、そのスポーツ・キャリアを追跡すると同時に、費用便益分析、最低満足水準の条件に関する数量的な質問項目を作成しなければならない。参加動機に関しては、Feltz,D.L.(1992)、Duda,J.L.(1992)、Klint & Weiss(1986) MIPE : Motivation Inventory for physical Education、バーンアウトに関しては、M.B.I.; Maslach Burnout Inventory,P.B.M.; Pines Burnout Inventory,SBS-HP; The Burnout Scale for Health Professionals,A.B.I.; Athletic Burnout Inventoryを参照に新たに質問項目を選定した。 主たるスポーツをスピードスケートに据えたために、その盛んな地域である北海道、長野県、群馬県を調査対象地に選定し、対象者は、2年間の追跡が可能な中学校1年生とした。対象者の概数は、北海道1500人、長野県200人、群馬県150人である。1年間のスポーツ・キャリアを確定するには、年度末の3学期に調査を実施せざるを得ないため、配布、回収、分析中である。
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