本研究の目的は、中高年者のスポーツへの再社会化に至るプロセスを明らかにすることにある。超高齢社会を迎える21世紀を目前にして、"アクティブなライフスタイルをもつ生活者"の増加がますます重要になっている。本研究では、中高年者の参加者が中心である"全国スポレク祭千葉大会"と"ねんりんピック山梨大会"のフィールドワークを行い、ヒアリング調査および質問紙調査を郵送法により実施した。 高齢期にスポーツ参加の契機になった要因は、種目により顕著な差異がみられることがわかった。ゲートボールでは仲間集団や老人クラグといった環境因子が強く、ペタンクでは身近に同好会があるというプログラム・アクセスが影響し、テニスでは高齢期以前からのライフステージにおけるクラブ所属が活動に影響を及ぼしている。スポーツ参加のプロセスでは、テニスでは「継続説」、ペタンクでは「再社会化説」、ゲートボールでは「継続説」と「再社会化説」の両方が支持された。 再社会化群は中年期では男性より女性が、そして高齢期ではニュースポーツ参加者において多く検証された。また、スポレク祭やねんりんピック参加者の多くが中年期において、全国平均をはるかに上回るスポーツ実施率を示しており、50歳頃の活動レベルが高齢期の習慣形成に大きな影響を及ぼしている。それゆえ、アクティブな高齢期を過ごすためには、中年期における退職前学習の重要性が指摘できる。 また、中高年者を対象にしたスポレク祭やねんりんピックという全国イベントが、中高年者のスポーツへの再社会化や継続の動機づけになっていることが示された。それゆえ、今後は中高年を対象にした地域レベルや県レベルにおいて「誰もが、手軽に、楽しく、参加できるイベント」の開催されることにより、中高年者の継続群や再社会化群の増加が期待できるだろう。
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