【験究目的】今年度は、健康な成人と高齢者の歩行の特徴を比較検討するために、障害物をまたぎ越える際の動作解析を行う事にした。 【研究方法】成人の被検者は広島大学男子学生8名を用いた。高齢者は、東広島市存住の10名であった(平均年齢79.0才、身長145.3cm)。障害物の高さおよび歩行の条件は次のとうり。長さ7メートルの歩行路の中央に幅50、厚さ2.5cmの木製の板を設置した。その高さは、1、3、5、10、15、20cmした。2〜3回の練習の後、同一の高さで、5試行ずつ行った。なお、結果は各被検者の5試行の値の平均値を求めて示した。被検者には、動作解析のために身体の特定の部位に直系15mmの大きさの反射マークを貼付し、側方から、毎秒200コマで高速ビデオ撮影を行い、画像解析装置により動作を分析した。 【結果と考察】1)歩幅の比較:自然歩行での歩幅(身長比)は、高齢者群では、29.1±5.3%、青年群では、39.6±4.1%であった。障害物15cmでの歩幅は高齢者群で35.7±5.2%.青年群で43.3±6.2%であった。すベての障害物の高さの条件において、高齢者群の歩幅は、青年群よりも有意に小さかった。 2)足高の比較:自然歩行においては、高齢者は、青年に比べて、床面からの距離が小さな値であったが、障害物、越える場合はすべて、高齢者の方が大きな値であった。 3)高齢者は、障害物を越える際に体幹部を前後に動揺する傾向が見られた。障害物の高さが、5、10、15cmんにおいて、4〜5倍の大きさの動揺を示した。体幹部の動揺度は歩行バランスを評価する指標の一つとして、用いることができると考えられた。
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