研究課題/領域番号 |
04680138
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
里吉 政子 横浜市立大学, 文理学部, 教授 (40045969)
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研究分担者 |
野坂 和則 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (00175522)
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キーワード | ギブス固定 / 廃用萎縮 / 透過電子顕微鏡 / 筋線維 / 毛細血管 / 酵素活性値 / サテライトCell / 線維芽細胞 |
研究概要 |
発育期の雌性ラットの右後肢にギブス固定を4週間行い、除去した後にヒラメ筋及び長肢伸筋を摘出し、湿重量を計測し、光学顕微鏡、電子顕微鏡資料を作成しその形態変化を検索した。光学顕微鏡の資料は血管走行の動向を見るためには血管内に墨リンゲル液を注入し、ヘマトキシリン・エオシンで染色し、血管の走行観察には比較的低倍率で、筋繊維の観察は高倍率にて行った。また同部位を電子顕微鏡試料に再作成し、光学顕微鏡での観察した部位との同定を行った。固定期間を通して週間隔で血清中のCK値をもとめ、筋損傷の手掛かりとした。 1筋繊維の形態変化 雌性ラットにおいては萎縮の比率が高く、湿重量において、4週間の固定では70%の減少を示した。若齢ラットほど筋の損傷が大であった。筋細胞の径が減少することは従来の結果でも明らかに認められたことであるが、血流を阻止せぬように最大限の注意をもって固定したにも拘わらず、筋細胞には種々の形態変化が認められた。 第一に筋の破壊である。筋繊維が蛇行し、ねじれ状になり、断列が生ずるとこの部位には血液由来と思われる多くのどんしょく細胞様の大型の核や繊維芽細胞等が出現する。これにより筋細胞中の筋原繊維は融解又は間質に流出し、細胞膜のみか、少しの筋原繊維が残存する。この時点においては修復の為に毛細血管が新生される。新生血管は従来の残存毛細血管より細く、筋繊維の損傷部位を取り巻くように小さく蛇行し、又は直走して発生する。この新生毛細血管の内皮細胞は非常に不完全であり、毛細血管からの侵潤した血流が先行し、徐々に内皮細胞が発生するものの様である。 破壊された筋細胞はサテライト細胞の補助により小型の筋細胞となって出来上がる。また間質に流出した筋原線維は間質を流れ、脈管等のある比較的広い場所に集合し、サテライト細胞を取り巻いて、新しい筋細胞が出現する場合も見られるようである。 2.血清CK値の変化 測定期間が発育期にあった為か、また尾部からの採血であった為かCK値は高く、またその範囲も広くこれを判定基準としての規格化が明確でないが、固定したラットにおいて無固定のラットより高値を示した。
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