目的:大がかりな器具を使わず、短時間で集団の測定が可能な起立性低血圧耐性能テストの簡易法を開発する。 方法:1.被検者15名(男13、女2)は6時間5度のHead down Tilting後に‐50mmHgの下肢陰圧ボックス内で50ワットの負荷で5分間抑臥位ペダリング運動を行なった。運動終了後心臓血管系が起立性循環調節失調を示唆する基準値に達するまでその陰圧下に暴露された。実験中酸素摂取量、心拍数、動脈血圧、前腕血流量の測定を行った。下肢陰圧下の耐性時間により被験者を3群に分けた。2.先行実験に従い、テストとして屈伸運動を1分間50回のリズムで1分間の運動後、5分間起立位の状態で、1分毎に動脈血圧の測定を行った。3.別の被験者40名(男30、女10)に上記の脚屈伸運動を実施した。 結果と考察:1.耐性能の高い群(平均耐性時間の+10%以上:HG)と低い群(-10%以下:LG)に分け、比較すると下肢陰圧下の運動後、HRはHGが、SAPはLGが急速に下降し安静時以下となった。 2.下肢屈伸運動テストでは上記のHGではHRは1分以内にすみやかに下降するが、LGでは漸減傾向を示し、平均血圧は、5分間ずっと有意に高い値を示した。 3.1と2の実験から下肢陰圧耐性時間と脚屈伸運動後1分時の動脈血圧はSAP、DAP共に1%水準で有意な相関関係にあった。 4.実験3から運動後1分後のMAPの高い群6名(平均値+10%)、低い群5名(平均値-10%)、について安静時-50mmHgLBNP耐性時間をテストするとHGで平均13.7(±3.03)分、LGで6.3(±1.02)であった。 以上の結果から脚屈伸運動後の1分時の血圧測定により起立性循環調節機能が推定可能と考える。
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