研究概要 |
本研究は、20%MVCという低い強度の動的運動をexhaustionまで行わせるトレーニングが末梢血流に対してどのような影響を与えるかを明らかにして、筋持久力の向上に適した負荷条件を明らかにすることを目的としている。 被検者20歳の健康な成人女性5名であり、右腕をトレーニング肢、左腕をコントロール肢として、週5日、30日間のトレーニングを行わせた。トレーニング前後に最大筋力の10,20,30,40,50,60%MVC強度、60回/分テンポの掌握運動を各負荷30秒間づつ行わせ、心拍数、血圧、前腕血流量(Venous Occlusion法)を測定した。 最大筋力はトレーニング前後で有意差は見られなかったが、exhaustionまでの作業回数は、トレーニング肢で大きな増加を示した。前腕血流量は掌握運動の負荷強度が高くなるにつれて増加し、40-50%MVC強度で頭打ちとなり、前腕血流量の最高値は40-50%MVCで得られた。この最大血流量および最大下の各負荷における前腕血流量の値は、トレーニング前の左右肢では有意差がなかった。トレーニング前後を比較すると、コントロール肢である右前腕の最大血流量は22.6±2.0ml/100ml/min(トレーニング前)と24.6±3.1ml/100ml/min(トレーニング後)で、有意差が見られなかった。それに対して、トレーニング肢では、トレーニング前の24.3±3.1ml/100ml/minからトレーニング後は31.1±3.2ml/100 ml/minとなり、5%水準で有意に高くなった。最大下負荷運動での前腕血流量は10,20%MVC負荷では有意差は見られず(p>0.2),30,40%ではp=0.06,0.07となり、50%負荷では有意差(p=0.02)が見られた。また、運動時血圧も低下傾向を示した。 以上の結果から、20%MVC強度でexhausionまで行う持久的トレーニングは、最大血流量の増加に対して効果があり、筋持久力の向上に効果があることが明らかになった。
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