研究概要 |
1.国際政治経済構造の中で近代五輪は、政治的経済的被利用価値としての側面をもち、ソウル大会も例外ではなかった。とくに、韓国は五輪開催に国家の命運を託した。それは主として政治的経済的飛躍におかれた。 以上の点について、文献・資料(「朝鮮日報」他)からの解明がなされ、「第二次世界大戦後における政治的被利用価値としての五輪とソウル大会」の執筆を終えた。 2.「ソウル五輪についての意識調査」(20項目、韓国調査)を実施し、国民の次元においてもソウル五輪の認識・評価が高かったことが明らかにされた。 3.ソウル五輪についての面接調査から多様な意見・見解が得られた。それはビッグ・スポーツ・イベントのもつ正機能的側面のみでなく逆機能的側面にも及んでおり、本研究遂行上貴重な示唆が得られた。 4.ソウル五輪開催の効果は、主として政治的経済的領域において認められ、国の内外を問わなかった。 (1).韓国国内に及ぼしたソウル五輪の効果としては、(a)国内融和、(b)五輪景気を中心にした経済の飛躍的発展、(c)国民意識の高揚、さらには、(d)文化水準の高揚があげられる。 (2).対外的に及ぼしたソウル五輪の効果として、(a)東側陣営との間に相互交渉の道を開き、(b)西側陣営内での立場を確立した、ことがあげられる。これらは、政治的経済的側面において認められる。 (1),(2)からソウル五輪の政治的経済的被利用価値は大きく、韓国国家の発展に大きな役割を果したと言える。 平成4年度の研究実積として、「ソウル五輪の開催が韓国国家の発展に及ぼした効果」(研究課題)について以上の枠組を得ることができた。
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