研究課題/領域番号 |
04680150
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
田中 宏暁 福岡大学, 体育学部, 教授 (00078544)
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研究分担者 |
佐々木 淳 福岡大学, 医学部・第二内科, 助教授 (90122697)
進藤 宗洋 福岡大学, 体育学部, 教授 (30078539)
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キーワード | 単純性肥満 / 運動療法 / 食事療法 / 食事・運動併用療法 / 血中脂質 / 抗動脈硬化因子 / 血液凝固因子 |
研究概要 |
単純性肥満患者における食事および運動の併用療法(CT療法)と食事のみを制限する食事療法(NT療法)とによる減量が身体組成、血中脂質、血液凝固因子に及ぼす影響について検討した。対象は女性の単純性肥満患者27名で、摂取熱量をCT療法は1000kcal/日(CT-I群9名)と1300kcal/日(CT-II群7名)、NT療法は700kcal/日(NT-I群6名)と1000kcal/日(NT-II群5名)に制限し、CT療法では血中乳酸濃度閾値(LT)強度で300kcal/日の自転車エルゴメーター運動を行い、約1ヵ月間管理した。採血は10〜12時間絶食後、肘静脈から採血した。体重、体脂肪率(%Fat)、除脂肪体重(LBM)、最大下運動負荷試験より最大酸素摂取量(Vo2max)、血液中の脂質、血液凝固因子など各項目を入院前と退院時とに測定した。その結果、体重と%Fatはいずれも有意に減少した。LBMは各群とも有意な変化は認められなかったが、NT療法で減少率が高かった。血中脂質ではLDLコレステロール(LDL-c)がCT療法において有意に減少し、CT-II群で最も減少率が大きかった。HDLコレステロール(HDL-c)はCT-I群とNT-I群で有意に減少、NT-II群で変化がなく、CT-II群で有意ではないが増加した。これらをうけて動脈硬化指数では、総コレステロール(TC)とHDL-cとの比(TC/HDL-c)がCT-II群とNT-II群で有意に減少、LDL-c/HDL-cがCT-II群のみ有意に減少した。一方、血液凝固因子では、顕著な変化は認められず、CT療法でわずかながら改善が認められるにとどまった。CT-II群は、摂取カロリーが多い分体重への影響は緩やかではあるが、%Fatの減少率は他群より高く、血中脂質においても良好な結果が得られたことなどから、患者への負担を最小限におさえた減量法であることが示唆された。また血液凝固因子においてもCT療法に改善がみられたことから、肥満の治療法に運動療法を加えることの妥当性が示唆された。今後さらにこれらのことを確認するための例数の増加と、他の因子についての検討を行う必要性が考えられた。
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