研究概要 |
1.親和性標識による解析 (1)我々は先に、グアニジノ酢酸メチル基転移酵素(GAMT)の光親和性標識により、アデノシルメチオニン(AdoMet)結合部位を同定したが、今回、標識部位周辺の一次構造を他の酵素と比較し、動物の酵素にはコンセンサス配列oーAspーsーo(o:hydrophobic,s:smallーneutral)が存在することを見出した。(2.の(1)と共に発表予定) (2)ウシ副腎のフェニルエタノールアミンメチル基転移酵素についても、上記コンセンサス配列を含む領域がAdoMetにより標識されることが分り、この領域の重要性が示唆された。現在標識残基の同定を試みている。 (3)ヒト肝臓のグリシンメチル基転移酵素のクローニングと大腸菌での発現に成功し(投稿準備中)、この組替体を用いて、新たに合成したアデニン環-^3H標識のアデノシルホモシステインによる親和性標識を試みたところ、単一ペプチドが標識されることが示された。現在ペプチドの単離と同定を行なっている。 2.部位特異的変異導入による解析 (1)上記コンセンサス配列のうち、共通するAspに着目した。GAMTの場合コンセンサスを満たす配列としてTyr^<133>ーAsoーThrーTyr^<136>とPhe^<128>ーAspーGlyーIle^<131>とが存在するのでAsp^<129>とAsp^<134>をそれぞれ他のアミノ酸に置換したところ、Asp^<134>が活性発現に重要な役割を演じていることが明らかになった。メチル基転移酵素の活性に直接関与する残基が同定されたのは初めてのことである。(投稿準備中) (2)核酸のメチラーゼとの比較から、CysーAsn配列を含むCys^<169>が触媒残基である可能性が示唆されたが、他の残基に置換しても活性を有しており、その可能性は否定された。
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