研究概要 |
本研究の目的はチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子の組織特異的発現機構をトランスジェニックマウスを用いて解明することである。本研究ではTH遺伝子の3′末端に注目して、神経特異的発現に関与する配列の存在を明らかにすることを試みている。導入遺伝子としてヒトTH遺伝子のプロモーター領域(2.5kb)、β-グロビンのスプライシングシグナル、β-ガラクトシダーゼ遺伝子およびTH遺伝子の3′側領域からなるDNA断片を作製している。当初の計画ではトランスジェニックマウスの作製は(財)実験動物中央研究所(勝木元也博士)に依頼するとしていたが、勝木博士の赴任(平成4年1月,九大・生体防御医学研)にともない、それが困難になった。そこでトランスジェニックマウスの作製を研究代表者自身で行なうこととし、それにともないTH3′側領域を種々の長さにもつDNAを作製することを断念し、先づはTH3′側領域(500bp)をもつものともたないものの2種のDNAを導入することに変更した。当初の計画では、平成4年度中に導入遺伝子の構築とトランスジェニックマウスの作製までを完了する予定であったが、ベクター構築のある段階で予期しない困難があり、時間を費やした。現在、制限酵素部位を変えたり、ベクターの種類を変えるなどの工夫をして、導入用のDNAを構築している途中である。
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