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1993 年度 実績報告書

徐冷モンテ・カルロ法によるペプチドの立体構造予測とその実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 04680164
研究機関奈良女子大学

研究代表者

中沢 隆  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (30175492)

キーワード徐冷モンテ・カルロ法 / エネルギー最小化 / 立体構造予測 / BPTI / NMR / タンパク質のfolding / ペプチドの溶液内構造 / タンパク質の三次構造
研究概要

前年度までの徐冷モンテ・カルロ法によるウシすい臓トリプシンインヒビター(BPTI)の部分ペプチド(残基16〜36)の立体構造予測にひき続き、この方法をアミノ酸残基数34のヒト副甲状腺ホルモン(PTH(1-34))の構造予測に適用した。このホルモンの立体構造については既にNMRを用いた実験により、ペプチド鎖中の二箇所にα-ヘリックス構造が存在することが推定されているので、今回はこの実験的モデルを逆に理論的に検証することを試みた。20回のシミュレーションの結果、実験的モデルと同様に残基2-10と18-22の2箇所にα-ヘリックス構造を持つ最小エネルギー状態が得られた。さらに、一連の計算全体から、次の2つの点において実験結果を裏付ける知見が得られた。(1)N末端側のヘリックスはC末端側のヘリックスよりも安定である。(2)2つのヘリックス領域以外のペプチド・セグメントはフレキシブルであり、一定の構造形成傾向は見られない。以上のように、BPTI(16-36)とPTH(1-34)の立体構造予測において、共通の方法-シミュレーションはランダムに発生させた初期構造から出発して、いかなる実験的及び経験的因子も導入することなく、アミノ酸固有のパラメータとその配列のみに基づいて行う-を用いたにもかかわらず、それぞれ期待された通りのβ-鎖及びα-ヘリックス構造が再現できたことは、使用したアルゴリズムがそれらの構造のいずれにも偏らず、従って完全に非経験的であることを示すものである。その正確性は、例えばPTH(1-34)の二次構造をChou-Fasman法で予測してもα-ヘリックスとβ-鎖構造の判断が明瞭にできないことと比較すれば明らかであろう。現在、徐冷モンテ・カルロ法による計算結果の統計的有意性を確認するために、マルチカノニカル法に基づくエネルギー最小化を同じ問題に適用することを試みている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Takashi Nakazawa: "β-Sheet folding of fragment(16-36)of bovine pancreatic trypsin inhibitor as predicted by Monte Carlo simulated annealing" Protein Engineering. 5. 495-503 (1992)

  • [文献書誌] Yuko Okamoto: "α-Helix structure of parathyroid hormone fragment(1-34)predicted by Monte Carlo simulated annealing" International Journal of Peptide & Protein Research. 42. 300-303 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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