研究課題/領域番号 |
04680165
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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研究分担者 |
根岸 友恵 岡山大学, 薬学部, 非常勤講師 (80116491)
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キーワード | ショウジョウバエ / 体細胞突然変異 / ジアルキルニトロサミン / 近紫外光 / 0^6-アルキルデオキシグアノミン / ラジオイムノアッセイ / 除去修復 / 複製後修復 |
研究概要 |
種々の薬剤や環境物質が生物に与える遺伝子傷害は、発がん機構の一部を説明すると考えられている。ある物質が細胞内DNAに対してどのような反応をし、その傷がどのように修復されるかを知ることは生化学的に重要な課題である。特に、生体に対するDNA傷害作用を考えると、これらの物質が体内に摂取された後の代謝や生体内分布などの因子が含まれた個体レベルでの反応を考える必要がある。本研究では個体レベルでの研究のモデルとして、取扱いの簡便なショウジョウバエの幼虫を用いDNA傷害性物質あるいは因子として、アルキル化剤であるニトロサミン類と、近紫外光を取り上げた。 ジアルキルニトロサミンで処理した幼虫からDNAを抽出し、加水分解してヌクレオシドにした後、HPLCで分離した。各画分についてアルキルデオキシグアノシン(dGuo)に対するモノクローナル抗体を用いてラジオイムノアッセイを行ったところ、処理濃度と時間に応じてO^6‐アルキル‐dGuoの増加が見られた。ジメチル体はジエチル体に比べて体細胞突然変異誘発能が約10倍高いが、O^6+アルキル付加体量も約5倍多いことがわかり、O^6-アルキル付加体量と変異原性との相関性が観察された。また、ニトロソジエチルアミンの処理では、O^6-エチルdGuoと同程度のO^2-エチルチミジン(T)と少量のO^4-エチルTの生成も確認された。 ショウジョウバエ幼虫に近紫外光(320-400nm)を照射すると、DNA傷害性を示さない照射量で体細胞突然変異をひき起こし、254nmの紫外線では致死作用は強いが、突然変異の誘発はほとんど起こらないことを、DNA傷害作用検出系と、突然変異検出系の二種の実験系を用いて明らかにした。両者を同時に検出できる系を用いて、近紫外光の変異原性は、複製後修復欠損株において除去修復欠損株や野生株より強く観察されたので、複製後修復されるような傷によっていることが示唆された。
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