研究概要 |
BC-1RNAはゲツ歯類のゲノムに特徴的な反復遺伝子の転産物であり神経細胞にのみ見出される。又このRNAは特定のタンパクと複合体(BC-1RNP)を形成し神経細胞の樹状突起にある。我々はこのRNPの桟能を明らかにする為RNPに含まれるタンパクについて解析した。その結果このRNPがBC-1RNAとRNA自身の遺伝子(ID配列)の双方に結合するタンパク(Bp-1タンパク)をもつ事が解った。Bp-1タンパクは分子量が31Kと36KダルトンでありID配列の中にあるRNAポリメラーゼIIIの2つのプロモーター間に結合する。その領域はGCAAGからなる5塩基のモチーフを3セット含んでいる。RNA結合タンパクの中にはこの様なモチーフ(コンセンサス配列:GNAR)に結合するものが知られている。樹状突起にこの様なDNA,RNA双方に結合しうるタンパクがRNPとしてある事は興味深い。このRNPはシナプス伝達に必要なタンパクをコードするmRNAのシナプス領域への輸送や樹状突起内での翻訳に関与すると考えられている。我々は上にのべたBp-1タンパクがBC-1RNAの転写過程や核外への輸送反応で桟能している事を示唆した。現在このタンパクを標的DNA配列をもつアフィニティカラムにより精製している。その上でBp-1タンパクやBc-1RNPの神経細胞の桟能との関わりについて調べる予定である。
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