1.各種ヘムの有機合成と再構成ペルオキシダーゼの性質 ヂューテロポルフィリンからジアセチルヘム、ジプロモヘムあるいはジシアノヘムを有機合成した。これらのヘムをペルオキシダーゼと再構成し、再構成酵素のスパーオキシドアニオン(O_2^-)あるいは過酸化水素(H_2O_2)検出試薬としての評価を行った。その結果、O_2^-ならびにH_2O_2を迅速にかつ定量的に検出可能であることが明らかになった。 2.甲状腺ろ胞細胞膜分画のO_2^-産生 我々は、膜分画がNADPH依存的にO_2^-を産生することを報告した。ところが、フランスのPommirらはO_2^-ではなくH_2O_2が一次産物として産生されると最近報告している。そこで我々はもう一度条件を検討し測定しなおしたが、やはりO_2^-が一次産物であることを再確認した。 3.ウニ卵の酸素代謝 whole cellを刺激するとH_2O_2が一次産物として産生されることは確認した。しかし、膜分画を用いた系では、O_2^-あるいはH_2O_2のどちらが酸素の代謝一次産物であるかについては、いまだ明確な結論が得られていない。ジシアノヘムで再構成したペルオキシダーゼでその確認をいそいでいる。 また、酸素消費と分光測定の同時測定については、オプチカルファイバーを使用した装置を作成し、必要試料の微量化(0.7ml)、高感度化に成功した。この装置を酸化環元電位の測定に利用し、好中球のO_2^-産生系の末端酸化酵素であるチトクロームb_<558>の酸化環元電位の測定に成功している。
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