【ラット脳フルクトース6リン酸2キナーゼ(Frc6P2kinase)のcDNAクローニング】 ラット脳よりグアニジンチオシアネート法を用いてRNAを抽出し、オリゴ(dT)セルロースカラムでmRNA画分を得た。このラット脳mRNAよりオリゴ(dT)プライマーを用いて、Gubler & Hoffmanの方法によりcDNAを作製した。これをλgt10のEcoRIサイトに挿入し、cDNAライブラリー(ライブラリーサイズ1x10^6)を得た。プローブとして当研究室で現有するヒト肝、カエル肝Frc6P2kinaseのcDNAミックスプローブを用いスクリーニングした結果、数クローンを得た。得られたクローンを用いてライブラリーを再スクリーニングした所、さらに数クローンが得られた。制限酵素地図の結果より、異なる2種のcDNAが存在することがわかった。また、得られたクローンを用いてラット脳mRNAのノザンブロットを行なったところ、2.1kbのバンドがハイブリダイズした。 【ラット脳Frc6P2kinase一次構造の決定】 クローニングしたcDNAの塩基配列をジデオキシ法を用いて調べた。1つのcDNAグループは、既に報告されている肝臓型酵素と高いホモロジーを持つが、この酵素の調節部位であるリン酸化されるSer残基を持たなかった。もう1つのグループは肝・筋型酵素とは別の遺伝子由来である心臓型遺伝子と高いホモロジーを持つcDNAであったが、心臓型酵素にはないリン酸化部位を持つことがわかった。現在、塩基配列決定を進行中である。
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