研究課題/領域番号 |
04680209
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
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研究分担者 |
松永 司 金沢大学, 薬学部, 助手 (60192340)
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キーワード | モンゴリアンジャービル / 培養細胞 / 哺乳動物種 / 生存率曲線 / 放射線感受性 / 電離放射線 / X線 / 染色体異常 |
研究概要 |
モンゴリアンジャービルは、電離放射線に対して高い抵抗性を示す動物として知られている。しかしながら、この性質が個体レベルで見られる特有なものか、あるいは個々の細胞の放射線感受性に起因するのかについては全く明らかになっていない。そこで平成4年度は、まずジャービルをはじめとして各種哺乳動物胎児より細胞を分離し、培養下での基本的な増殖特性を調べると共に、コロニー形成法を用いて細胞のX線生存率曲線を求めた。その結果、ジャービル細胞の平均致死線量(D_0値)は2.08〜2.28Gyとなり、ヒト細胞(D_0値は1.06Gy)より2倍以上もX線抵抗性であることがわかった。一方、マウス、ラット、チャイニーズハムスターおよびシリアンハムスター細胞では1.30〜1.56GyのD_0値を示し、それらのX線感受性は両者の中間に位置していた。このような細胞種間での異なった反応は、X線による染色体異常誘発効果においても見られた。興味あることに、最も高い感受性を示したヒト細胞ではX線照射により数多くの染色体異常が出現したが、他の細胞ではその半分の誘発頻度を示した。特に、ジャービル細胞ではほとんど線量依存性が見られず、このような低い染色体異常誘発がこの細胞の高い放射線抵抗性の要因になっていることが示唆された。そこで次に、ジャービル細胞の放射線抵抗因子を解析する目的で、他の細胞と混合培養した場合どのように染色体異常誘発が変化するかについて調べた。しかし、それぞれの細胞おいて誘発される染色体異常数に変化は認められず、ジャービル細胞の抵抗因子は外の細胞に対しては影響を及ぼさないことがわかった。現在、細胞融合法を用いて得られた雑種細胞についても同様の解析をおこなっているところである。また、ジャービル細胞DNAをヒト細胞に導入することにより、直接的に放射線抵抗因子に関与する遺伝子をクローニングすべく、関連の基礎実験を行なっているところである。
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