研究概要 |
XP患者の皮膚腫瘍のp53遺伝子の突然変異をPCR-SSCPで調べたところ、約半数に突然変異が生じていた。14個の変異のうち13は塩基置換変異であった,そのうち10個は5'-TC、5'-CC部位での変異で、6個は3'側のCが変異しており、4個は両方の塩基が変異していた。7個がC→Tトランスバージョンであった。この結果はin vitroで見られるUV誘発突然変異の型と一致しており、XP患者の皮膚腫瘍のp53遺伝子の変異は太陽光UVで誘発されたと考えることができる。Ha-ras、Ki-ras、N-ras遺伝子の変異は調べた限りでは見いだせなかった。 マウス正常Ha-ras配列を持つプラスミドに紫外線照射してBALB3T3細胞にトランスフェクトし、トランスフォーメーションを指標にしてras遺伝子の突然変異を検出・同定し、紫外線損傷の部位・種類との関係を調べた。17個のフォーカスより得たHa-rasのうち、10個は1つの変異を12、13、61番コドンに、3個は2つの変異を異なったコドンに、4個は2つの変異を60番コドンの隣接塩基に持っていた。計24個の塩基置換のうち、23個は隣接ピリミジンの片方または両方の塩基が変異し、22個はシトシンの変異であった。最も多い変異はシトシンからチミンへのトランジションで(17/24,71%)、それらはすべて5'-TC,5'-CC部位の3'-シトシンで起こっていた。コドン61の5'-TT部位では2個の変異しか生じていなかった。この結果はin vitroで見られるUV誘発変異の型と一致し、紫外線はマウスHa-ras遺伝子を活性化する塩基置換突然変異を、主に12,13,60番コドンに引き起こし、その原因は主に6-4光生成物であることが示唆された。
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