研究概要 |
本年度は含水酸化Ti-Siと含水酸化Ti-Zrの合成,Cs^+,Sr^<2+>に対するイオン交換特性とこれらの元素を収着した交換体の熱処理による結晶化の検討および熱処理試料からのCs^+,Sr^<2+>の水中への浸出率の測定を行い,単純な金属酸化物に於ける結果と比較して以下のことが明らかとなった。 1.Cs^+,Sr^<2+>,Eu^<3+>に最も高い分布係数を示すことから,構成金属中のTiモル分率が0.5の含水酸化Ti-Siを合成した。この交換体はFu^<3+>,UO_2^<2+>とCs^+,Sr^<2+>との間に明確な親和性の違いを示し,これら元素を分離できる可能性がある。一方,含水酸化Ti-Zrの典型金属元素に対する分布係数は構成金属中のTiモル分率に強く依存するので、Tiモル分率が0.5と0.7の交換体を合成した。 2.含水酸化Ti-SiのCs^+,Sr^<2+>に対する交換容量は何れの溶液条件においても含水酸化Ti-Zrや単純な金属酸化物より非常に高い。 3.単純な金属酸化物に収着されたCsは加熱中の揮発や可溶性のCs酸化物の生成のために固定されず,一方これらの交換体中のSrは1100℃の高温においてのみほぼ全量が不溶性化合物に転換される。含水酸化Ti-Zrに収着されたCsは熱処理によって単純なセシウム酸化物とチタン酸セシウムの混合物となり,30%のCsが水中へ溶解し固定できない。また含水酸化Ti-Zrに収着されたSrは不溶性のチタン酸ストロンチウムとして固定されるが,高い温度(1100℃)での熱処理が必要である。これに対して含水酸化Ti-Siに収着されたCs,Srのほぼ全量が,低い温度の熱処理,(600℃以上)によっても,不溶性のチタンシリケートとして固定される。 以上の検討により,含水酸化Ti-Siは含水酸化Ti-Zrや単純な金属含水酸化物に比べてイオン交換性および収着した元素の固定に優れることが分かった。
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