研究課題/領域番号 |
04680233
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研究機関 | 武蔵工業大学 |
研究代表者 |
相沢 乙彦 武蔵工業大学, 原子力研究所, 教授 (70016848)
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研究分担者 |
松本 哲男 武蔵工業大学, 原子力研究所, 講師 (00139411)
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キーワード | 武蔵工大炉 / 医療用照射場 / ホウ素中性子捕捉療法 / 熱中性子 / 小型原子炉 / 偏芯炉心 / スペクトラム・シフター / 吸収線量評価 |
研究概要 |
今年度の成果は、次の2つに分けられる。その第1は、偏芯炉心という新しい考え方であり、原子炉の炉心を医療用照射場に近づけることによって、小型原子炉を用いても照射場の特性を著しく改善できることを示したことである。また、その第2は、京都大学原子炉実験所の臨界集合体実験装置を用いて、スペクトラム・シフターとしては、アルミニウム、ベリリウム、黒鉛を使ってベンチマーク実験を行い、それを解析・検討することにより、熱外中性子成分を多く含む照射場の設計が可能であることを示したことである。 まず、第1の偏芯炉心の考え方については、これまでの武蔵工大炉の医療用中性子照射場が、炉心側面より160cmであったのを、炉心を約40cm移動して、120cmに縮めることにより、照射場の熱中性子束をこれまでの約4倍に増加できることが分かり、これによってこれまで脳腫瘍の治療に100kWの武蔵工大炉で約4時間の照射時間を必要としていたのが、1時間以内の照射で可能となることを示すことが出来たことである。 次に、第2のスペクトラム・シフターの効果については、アルミニウムを用いることにより、熱外中性子成分をかなり増加することが可能であること、また黒鉛の厚さを薄くしてもかなり熱外中性成分を増加できることが分かったことである。しかしながら、医療用中性子照射場の設計に当たっては、患部吸収線量並びに全身被曝線量を考慮した設計指針を最初に決定することが必要であることが分かり、今回その一例として色々な仮定を設けて検討したが、今後はその仮定の妥当性についても、色々な角度から検討を加える必要があるように思われる。
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