本年は、米流通の全体像をつかむための産地である主要な米生産県の経済連での聞きとり調査を行なった。また流通主体である全農ならびに主要な消費地域の卸売業者、卸売業団体、小売業と自主米機構、食糧庁などで基本的資料収集、聞きとり調査を行なった。 とくに産地の動向としては、新規参入産地として急成長し、新品種の価格も上昇している北海道産地の動向に注目した。また既存者有力産地としては、ササニシキ産地である宮城県、コシヒカリ産地である新潟県の販売戦略に注目した。従来からの有力品種は、自主流通米の過剰により売残りがではじめており、1990年からの自主流通米流通の変化は、産地間の力関係を大きく変更させた。また品種の問題だけでなく、産地毎に収穫時期が異なる中で、統一的に入札を行なうシステムを採用したため九州などの早場米産地と東北地方などの収穫期が遅れる産地との間に新たな格差が生まれはじめている。 各産地と卸売業者との取引関係では、従来の全農の販売代行ならびに調整機能は後退し、各経済連と卸売業者との直接的な取引関係が一層強くなり、この過程での産地間競争が進んでいる。 卸売業を中心とした米の消費地への流通は、大規模な卸売業と精米施設をもった小売業が競争力を強めている。 今年度の調査研究では、産地間競争の競争内容が新しくなったこと、小売間競争、卸売間競争の結果が 米産地間の競争に大きく影響を与え、新たな産地間序列が生まれていることが確認できた。この成果については、春の東北地理学会で報告の予定である。
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