国や地方自治体が行なう投資および融資の財政金融は、各地域における社会資本の充実、中小企業の振興、基幹産業の発展などをはかり、地域の変容に大きくかかわり合っている。 租税・郵便貯金を中心として引き揚げられた財政資金は、主として国庫から直接的に民間へ、あるいは資金運用部から政府系金融機関、公社、公団を通じて民間へと散布される。しかし、財政資金の地域的配分は、いかなる地域の範囲を取り扱おうとも均等ではなく、つねに量的にも、内容においても地域的差異が生じている。 今年度は、東京大都市圏における財政資金の地域的差異を分析するために、「地方財政統計年報」を使用し、1960、70、80、90年と10年間間隔で、1人当たりの地方財政額と地方財政の内容に関して検討を行なった。とくに東京大都市圏の外縁部に位置する茨城県に関して、「市町村財政実態資料」を用いて市町村単位によって、1人当たりの地方財政額と地方財政の内容に関して数値処理を、1960、70、80、90年度についてそれぞれ行なった。 その結果、地方財政の地域的な費用支出の様相によって、都市型・農村型に大別され、それぞれにサブタイプがあることがわかった。都市型の地域では、商工業振興のための費用支出が卓越し、農村型の地域では農林業の基盤整備のための費用支出が卓越する。 茨城県においては、県南地方から主要交通路網に沿って、地方財政からみた都市化が進展し、換言すれば地方財政からみた大都市圏化が着実に進展している。
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