平成4年度には、1988年刊行の「全国集市大観」所収の3633ヶ所の自由市場についてデータベースを作成し、電算機によってその特性の把握に努めた。その結果、(1)市場の呼称法については、地域毎の伝統的な呼称が姿を消し、均一化が進んでいること、(2)自由市場の大部分が「総合市場」であり、一部が「専業市場」、ごく一部が「卸売市場」であること、(3)市場の6割が定期市、4割が毎日市で、定期市の周期には、旬によるものが最も多いが、十二支や週の周期によるものも見られること、(4)1日当り参加者数は約1万4千人、売上高は約5万2千元、売り手の17%が外来商人で、かなり活発であること、(5)敷地面積は、平均1万1千平米余、建築物面積は平均3千3百平米で、かなり大きいこと、(6)主要商品は、農産物、工業製品、またはその両者であること、(7)市場の大部分が幹線道路に沿い、一部が鉄道や水路の便を持つことなど、興味深い事実が明らかにされた。 平成5年度は、主として中国の省別統計年鑑類を資料として、自由市場の経年的変化(1980-1990年)、及びその地域的差異(1988年)について検討した。経年的変化については、(1)自由市場の総数は、一貫して増加しつづけており、特に近年では都市部の増加が顕著である、(2)売上高は、それを上回るペースで増加しており、やはり増加率は都市部において著しい、(3)全小売販売額に対する自由市場売上高の割合は、一貫して増大しつづけており、自由市場の地位の上昇が明らかである、(4)売上高の商品別構成の検討から、自由市場が年々、生鮮食料品市場としての性格を強めつつあることがわかった。地域的差異については、(1)都市化の程度、(2)経済発展の程度(一人当り所得の高さ)、(3)南部と北部、内陸部と沿岸部の自然条件の差異などが、自由市場の立地点、分布密度、売上高、小売販売額に対するその比重、売上高の商品別構成などに影響を与えていることが明らかとなった。
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