研究概要 |
都市中心部の高層化に伴う域地表面の幾何学的な形状の変化が顕著であり、この変化により都市域内部のアルベドが低下した結果、都市内部における日中の日射吸収量が増加し、これが都市ヒートアイランドの形成・強化の熱源となっているとするシナリオがある(例えば、Oke,1978)。これを直接証明することは困難であるが、その傍証を得ようと云うのが本研究の目的であった。 地表面の幾何学的な形状の変化の指標として天空率を用い、地表面アルベドは地球観測衛星LANDSATのMSS画像から見積ることにした。そのため、天空率を算定する方法および衛星画像から地表面アルベドを見積る方法を開発し、さらにそれらを実行するためのパソコン・システムを構築することも副次的な目的とした。 初年度において、天空率を算定するためのシステムとLANDSAT/MSSデータから地表面アルベドを解析するシステムをパソコンEPSON386G上に構築すると共に、衛星画像を収集した。最終年度である2年度において、収集した衛星画像データから解析した地表面アルベドの分布と全天空写真から解析した天空率の分布の比較を行い、両者の関係を検討した。 その結果、新潟県の上越市高田市街地において、都市中心部などの天空率の小さい地点ほど地表面アルベドが小さいという関係が実在することが初めて確認された。さらに、LANDSAT/TM赤外画像からは天空率やアルベドが小さい地域が実際に相対的に高温であることも認められた。勿論、地表面アルベドは地表面の形状だけではなく、その材質や色、含有水分量などによっても変化するので、本研究の成果から直ちに地表面アルベドの天空率依存係数の様なものを割り出すのは早計であり、地表面形状以外の因子には大きな地域差の無い都市域を対象とした事例解析を蓄積することが大きな課題である。
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