研究概要 |
◎今年度の研究目標は,1年以内に0.2μmの分解能で,ウェットな試料を,ゾーンプレートを用いた結像型X線顕微鏡で観察する事であった。しかし,今年度の10月にLawrence Berkeley Laboratoryとの間に協同研究が成立し,4.5nmの解像力をもつゾーンプレートを結像素子として用いる事ができるようになり,以下のような成果を得ることができた。 1)ゾーンプレートを試料として観察した結果,78nmの線幅まで見ることができるようになった。これは当初の目標より,2倍以上の前進である。 2)生物試料として,筋原繊維,クラミドモナス,紅藻,藍藻,珪藻,ナマコの骨片,染色体等を観察した。筋原繊維の場合,z-bandもはっきりと観察できるようになった。 3)ウェットな試料を観測する目的で,試料槽を試作した。試料槽中の物体(筋原繊維の一部)を観測する事ができた。 4)MCP-カメラ切り替えにより,フィルムによる撮影もできるようになった。 ◎来年度への課題はつぎの通りである。 1)結像用ゾーンプレートにマッチした良い集光用ゾーンプレートがまだ入手できないため,結像用ゾーンプレートで決められる45nmの像観察には至っていない。来年度の課題である。 2)前年度に引き続き,各種の生物試料を観測する事により,X線顕微鏡でユニークに得られる生物の情報を引き出す努力をする。 3)ウェットな試料を観測するための試料槽を改良し,種々の生物試料を観測する。
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