研究概要 |
X線顕微鏡の開発は,主に分子科学研究所UVSOR研究施設にて行った。平成6年3月現在で,「(1)分解能は60nmを達成できた。(2)水の中の試料を観察できるようになった。(3)珪藻,クラミドモナス,筋原繊維などの生物試料を観察できるようになった。」などの成果を得られた。平成5年度中の主な検討点は,集光,結像のゾーンプレートのマッチングの不一致を解消するために,その間に集光用斜入射鏡を挿入したことである。この集光鏡を入れることにより,集光ゾーンプレートは,ゾーン数さえN≧lambda/△lambdaの条件を満たしていれば良くなり,集光鏡への制約が大幅に軽減されることになる。現在の段階では,鏡の表面精度に問題があり,まだ当初の性能が達成されていない。引き続き今年度に開発すべき課題である。 もう一つの問題は,ビームタイムの問題である。例年通り,分子研からは,計3カ月以上のビームタイムを配分されているが,毎回実験終了後,解体して運び帰らなければならない。これは,X線顕微鏡のように精密なアライメントを必要とする装置では,大きな負担である。また次の年にゼロから組み立てなければならない。今度どこかのSR施設で考慮していただきたい問題である。
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