我々は、国立岡崎共同研究機構の分子科学研究所・極端紫外光研究施設(UVSOR)のBL-8Aを利用して、ゾーンプレート2枚を用いた結像型X線顕微鏡を組み上げ、ドライ、ウェットの種々の生物像を観察した。測定された空間分解能は、理論的分解能(55nm)に近い値を得ることができた。ドライ試料としては、珪藻、クラミドモナス、紅藻、藍藻など多くのものを観察した。それらについては、報告書に載せられている。一方ウェットな試料については、筋原繊維の観察を試みた。しかし、ビームタイムの制約のため、像の観察がウェットな場合も可能であるという feasibility study を行うにとどまった。 なお残る問題点として、試料面が均一に照明されない点がある。この主な原因は、集光ゾーンプレートが結像ゾーンプレートと幾何光学的にマッチしていないこと、集光ゾーンプレートが設計値と異なった光学特性を示していること、などの可能性が考えられた。これらの問題の解明は、次年度以降に課された課題である。
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