研究概要 |
平成4年度は一般講義と教養演習を通じて研究を行なった。一般講義は、文学部2コマと経営学部1コマであった。授業では、物質を理解する化学、日常現象を理解する化学を中心に講義をすすめた。前者では、繊維やゴム、プラスチックを中心に、各々の物質が、その物質として要求される性質がその分子構造とどのように関係するのかを中心に講義を展開した。繊維では、天然繊維を分析し、その繊維の特長や弱点を発現する原因がどこにあるのか、また、同様のことを合成繊維についても行ない、新繊維を開発するにはどんな点を考慮する必要があるか等について話をすすめた。日常現象を考える化学では、主に濡れるという現象を中心に、界面活性剤と分子構造との関係、流浄、接着等について、また染めるということに関連して、色と分子構造との関係、染色剤と繊維との関係等について講義を行なった。共に実験を数回行なった。また、小テストを随時行い、学生の理解度を不慮しながら講義を進めた。教養演習ではスダチの芳香成分の分析を行なった。GLC,LC,GC-MS,NMR等の機器を使用し、ある物質をある物質であると同定するための一連の過程を学ばせた。一般講義、教養演習ともに、一つの決定をするためにはどんな手順が必要であるかを中心に話をした。また、反応を通じて本研究の目的を理解させるために有効な反応の開発を試みた。α-テトウロンとβ-テトウロンのエチレンガリコール中での反応である。共に触媒量の塩化銅(II)を加えて加熱したところ、予想どうり、共役ケトンである前者はアセタール形成せず、後者はアセタールを形成した。本反応の講義への応用性についてはさらに検討中である。
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