研究概要 |
本年度は研究のまとめの年であるので、市販されたり、あるいは独自の目的で制作された日本語教育分野のコースウエアの内容を分析することも時間をかけ、本研究の位置付けを計った。具体的には、過去3年間で開発した『HyperHAIKU』と『非言語コミュニケーション』の評価のまとめを基盤にし、その他のコースウエア(コンピュータ機器などを利用したインターアクティブな教材)との比較、検討を行った。その結果、開発当初の見通し通り、市販されているコースウエアにおいては、漢字などの表記に関するもの(KanjiMaster:Hyperglot社;NihongoWare1,2:Ariadne社;KanjiCard)が多く、日本語教育の特殊性が改めて、観察できた。この結果は、研究初年度に参考資料として扱った、NHKの日本語教員に対するアンケート結果を裏付けるものであった。また、付随的な調査結果ではあるものの、文化紹介、異文化理解を扱った教材(Exotic Japan:The Voyager Company;KYooto,Nara:Hyper-travel,Cheng&Tsui Company)に関しては、CD-ROMやビデオ映像の形式が多く、それも最近のものは単なる文化紹介という内容ではなく、目的指向の強いものが多いように思われた。日本で商売を行うときに必要な商慣習に関する知識や日本語表現をストーリー仕立てで紹介するといったようなものである。但し、ビデオ教材では学習相互作用のレベルが低く、本研究で目指す学習者と教材/メディアとのインターアクションがあまりないと言える。今後オブジェクト指向のコースウエア開発はもちろんのこと、学習者がさらに積極的に学習過程に参加できる、楽しめる教材が開発されることが望ましいのではないだろうか。
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