幼稚園、保育園の保育者自身が環境教育を行う上で、課題と思うことについて調査した結果、現環境を生かし、あるいは改善しながら保育内容の充実をはかる必要性が指摘でき、保育者は知識だけでなく、保育に生かしていけるような感性や、専門性といった資質が求められていることが分かった。また、そのためには保育者自身の豊かな「自然への感性」や自然体験」が望まれ、保育者の成育歴における環境教育や、保育者養成課程における環境教育の重要性が指摘できた。 保育者養成課程における環境教育の実態を知るために保育者養成系短期大学の教育内容や教員の意識について調査した。教員は、学生の「自然への感性」や「自然体験」がやや乏しいと感じており、こういった指導の必要性を強く感じているのが分かった。また、幼児期における環境教育の必要性についても、非常に肯定的であった。環境問題を取り扱う教科は、内容や量については明確ではないが、約8割の短大で実践されているようである。しかし、現況では不十分であり、学生自身の「自然への感性」を豊かにするような、あるいは、「自然体験」ができるような教科を充実させることや環境教育関連科目の教育課程における必須化が望まれる。 保育現場に資料の協力を依頼し、環境教育に関連した保育内容について、指導計画や、実践記録を収集した。しかし、日常の保育とは、様々な目的、目標を持って計画され、総合的にその達成を願うもので、特に環境教育として取り上げて特別な実践が行われることは少ないという結果であった。今ある環境を極力生かしながら、子どもの「自然への感性」を豊かにしたり、たくさんの「自然体験」の機会を与えるなどの保育内容の充実が必要で、早急に幼児教育体系に位置づくことが望ましい。
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