これまでの研究結果から、現保育環境の整備や、実践的指導内容の充実と確立を可能にしていくためには、保育者の資質の向上を必要とし、また、現時点での保育者養成課程の環境教育では不十分で、その充実や保育者の再教育の必要性が示唆できた。そこで、今回、保育者の意識を高め具体的指導内容を模索するための研修プログラム開発を試みた。実際に自然の中で2泊3日で行う宿泊研修で、講習内容の概要は次の通りであった。 (1)幼児期の環境教育を考える・・(1)自然を伝える者としての大人の役割(2)自然教育におけるプログラムの必要性(3)発達段階と自然教育 (2)自然への感性をみがく体験学習・・・五感を使うゲームなどの自然体験や、野外炊飯等の生活体験など。この「幼児自然教育研修会」において、保育者は理論と実践を学ぶとともに、楽しみながらの自然体験を通して、幼児教育における環境教育の実践的指導内容を模索した。幼児期の環境教育とは、まさに自然教育であるといってよく、ワクワクするような自然体験をたくさんさせることである。小学校以上のように環境問題を知識として学ぶのではなく、あそびの中で「自然への感性」を豊かに育むことである。子どもを取り巻く現環境を体験の場としてより多く与えてやること、また、豊かな自然体験を持ち子どもを導いてやることのできる大人が、一人でも多く理解者、助言者としてそばにいることが大切である。実践的指導内容については、いろいろなねらいを持った従来の保育内容に環境教育的な意義を持たせ、さらに、五感をフルに使って遊ぶような自然教育のプログラム(ネイチャーゲムなど)を年間を通して保育指導計画に位置づけることが必要である。上記のような保育者あるいは学生を対象にした「幼児自然教育研修会」のプログラム開発と実施が今後の重要課題となるであろう。
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