1 札幌市南西部の定山渓付近に隔離的に分布する石英斑岩が、丘陵地を越えた市南東部に礫として分布してることが、この間の調査で明らかとなってきた。この礫の分布域・礫質の変化等を追うことによって、古豊平川の流路変遷と南部の丘陵地の形成史が解明できるものと推定できる。 札幌市南東部の広島町輪厚および竹山の2ケ所で、石英斑岩を含む礫を採取しその分析を行なったところ、次のような傾向の違いをつかむことができた。 (1)クサレ礫を呈するこれらの礫層は体積・重量%ともに、90%前後が安山岩によって占められ、5〜8%の石英斑岩を含んでいるが、輪厚のものは礫種がきわめて限定される。(2)球形度はほぼ同様の分散だが、円磨度では輪厚のものはきわめて低く2つの間に明確な違いがみられた。(3)石英斑岩は各100個中、輪厚では6個、竹山では3個発見できたが、密度は前者が2.5g/cc以下、後者はそれ以上という差異が認められた。 これらのデータをもとに定山渓付近の石英斑岩の岩質調査を今後すすめながら、礫の採取地点を増加させ古豊平川の変遷史をさらに詰めていきたい。 2 以上の調査結果の一部をふまえ、「札幌の土地の生いたち」のテキストを作成し、学生を対象として3回の野外学習を実施した。またビデオ教材作成のための録画撮りを札幌市東南部の丘陵地および十勝平野の第四紀を中心に実施した。次年度は調査の成果を反映させてビデオの編集に取り組み、学校現場で使用可能なものを作成していきたい。
|