本研究では、土地の形成史を理解させることを教材の主要な目的とし、そのために教材化の各段階でつぎのような仮説を設定した。 1).「素材を教材対象とする」段階:自然化学の立場の論理だけでなく、教材作成の立場の論理から素材を研究する。2).「教材の内容構成」段階:土地の形成史に時代区分を導入し、各時代の特徴的な現象で内容を構成する。3).「学習の展開」段階:目的を明確にした現地での観察、ハンマーによる石割り、土地の形成史を高所から俯瞰等、観察・行動を学習の展開に位置づける。4).「教材作成」段階:的確な課題や解説を含むテキストと、土地の形成史を整理したVTRを作成し、それらを使用する。5).「実践・検討」段階:こうした仮説に基づく実践・検討によて、学習者の土地の形成史の理解を高め、十勝・釧路に発展させていくことができるだろう。 大学生および一般の方々を対象として実践・検討した結果、各段階の仮説は概ね妥当なものであった。特に本地域の土地の形成史の教材作成にあって、つぎのことが明らかになった。1).自然科学の研究では明確でなかった、過去の河川流路が石英斑岩の礫の発見によって現在と異なり、自然史を理解しやすいものとなった。2).土地の形成史を扱う場合、行動や観察を位置づけた教材により、学習者は学習対象に対して印象が強く、学習効果が高いと感じる。3).テキストの課題や現地での適切な解説は、行動や観察ほどの印象を学習者に与えないが、土地の形成史の理解に学習効果があると感じている者か多い。4).野外での学習後、作成したVTRの視聴により土地形成史の理解が進むことが認められたこと。 本研究によってこのような成果を含むテキストとVTRを作成することができた。
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