研究概要 |
認知的要因をコントロールする要因(メタ認知的要因)は,広義の教師の「メタ認知」が児童・生徒に内面化し,児童・生徒の「メタ認知」(「内なる教師」)となり,問題解決に機能するものと考えている。 本研究は,4つの教師の言語行動(説明,発問,指示,評価)の視点から,「メタ認知」を測定するアンケートの開発を目指すものである。 平成4年度の結果を踏まえて,平成5年度は,和文用として,児童用,生徒用,そして,特定の数学の指導(統計)に依拠した,それぞれ60項目版,英文用として,児童用,生徒用の60項目版のメタ認知測定用具としてのアンケートを開発整理した。 平成5年度では,改善した測定用具としてのアンケートを用いて,児童・生徒の「メタ認知(内なる教師)」の内面化のプロセスを解明するとともに,数学的問題解決力との連関のモデルを解明した。とくに,問題解決の過程を通して,教師のメタ認知の児童・生徒への内面化の過程を分析した。 この内面化の調査には,アンケートをメタ認知の静的な側面の分析に用い,動的な側面は再生刺激法を用いて分析した。 この調査の結果,内面化のモデルとした7段階の過程の内,6段階の過程が試行的に確認できた。 しかし,このアンケートの結果によって児童・生徒のメタ認知の枠組みを記述するには不十分なところがあり,今後に課題を残している。
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