本研究は、平成4年度から5年度に継続する2年計画であり、本年は初年度にあたる。研究内容は、戦後、わが国で使用された文部省検定済中学校用英語教科書を分析的に研究し、その結果を今後の教科書作成にフィードバックしようとするもので、これらの教科書に現れた語彙を中心に歴史的・実証的にとらえようとする。 初年度いおいては、本研究はほぼ計画通りに推進された。東京都江東区の「教科書研究センター」の資料をもとに、戦後使用された文部省検定済中学校用英語教科書のリストを作成した。分析用資料としてこれらの教科書の内容をすべてコンピュータに入力することは財政的にも不可能で、広範囲にわたって採択された教科書のみを入力することとした。本研究は、中学校英語教科書の使用語彙を、通時的にあるいは共時的に研究するという目的があるが、ほとんど採択されなかった教科書は分析の対象から除外せざるを得ないであろう。 平成4年度までの効力のある現行の学習指導要領に基づいて作成された中学校用検定済英語教科書6種類18冊と平成5年度から使用される新学習指導要領に基づく教科書7種類21冊を入力した。5年度からの教科書は、学習指導要領で英語教育の目的が現行のものより広範なものとなっているが、語彙の面でどのような変化が見られるかを実証的に明らかにしてみたい。事実、4年度では計画通りの助成の金額でこれら合計13種類39冊の教科書の全文を入力するのが限界であり、分析の対象としている。 以上のように分析のための基礎資料を作成するために、教科書の全文を入力するわけであるが、商業ベースでの入力料金は高価で、5年度では英文字の読み取り装置と、スキャナーを利用し、より効果的に入力することを考えたい。
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