〔本研究の目的と基礎作業〕 (1)本研究の目的は、司法福祉の分野において仏教理念を活用することにより、どのような成果を挙げ得るかを検討するものである。この目的にそって家庭裁判所・保護観察所等の臨床実務において使用されるソーシャルワーク専門用語のなかで語源が佛教用語であるものを選別した。(2)東・吉元が司法福祉臨床実務において実際に取扱った未公開ケースの検討を行った。その結果、本研究の目的に合致する未公開ケースとして東の取扱った家庭裁判所臨床実務ケース2例、吉元が保護司として取扱ったケース1例を本年度の研究課題に決定した。 〔研究活動〕 (1)上記の基礎作業の成果にもとづいて代表者・分担者・協力者は、相互にその専門的知識の提供を行ない討議を重ね、これを「佛教司法福祉実践試論(2)」として取りまとめた。 (2)上記の取りまとめに際して司法福祉実践に関する多くの業績のある淑徳大学の佐竹洋人教授に研究の協力を求めた。 (3)上記の成果は、日本佛教福祉学会第28大会において代表者・分担者と協力者である東一英家庭裁判所調査官・新居澄子甲子園短大講師が共同報告を行った(平成5年11月17日於佛教大学)。同学会報告において4名は司法福祉の概念と対象を明らかにし、これを佛教司法司法福祉へと展開した。これに加えて、わが国における伝統的な観念思考のあらわれと言える日本の古典芸能の中に佛教司法福祉の視点があることを指摘した。 〔本研究成果の出版〕 代表者・分担者・協力者は共同で学会報告の成果を日本佛教社会福祉学会年報第25号(平成6年10月発行)に掲載する予定である。
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