1.計画第1年めの本年は、資料の入手・整理・評価・分類をおこないデータベースの様式を確立した。資料の性質および入手の手順については交付申請書で述べた通りである。 2.昨年夏以降、国連国際先住民年(1992-93)がマスコミ等で予想以上に大きな扱いを受けてきた事もあって、資料となる新聞・雑誌・放送番組などの件数が研究計画当初の想定をはるかに超えてしまい、整理・分析が大巾に遅れている。当初計画していた研究ニューズレターについては、各月の記事資料の目録に簡単なコメントを加えた月報を作成するにとどまった。 3.これまでの資料整理と内容分析の結果、84の分野別フォルダーを設定した。下位分類のサブフォルダーをあわせると全部で178の分類単位となり、すでに約3800件の記事および関連資料が閲覧・検索できる。うち2400件がコンピュータ入力ずみであり、現在容量2.4メガバイトの機械可読データベースが構築された。このほか未分類資料が約300件ある。 4.個々の資料にキーワード(一件につき4〜12項)を付加した。キーワードの数に制限はないが、頻出するものや分析上重要なものについては指定キーワード(現在138項目)として個別のインデックスをプログラム内部に組み、無制限の組合せ検索を高速で可能にした。 5.詳しい内容分析は来年度に持ちこされるが、これまでの作業を通じて、(1)一般むけ記事の増加にもかかわらず、アイヌ民族自身の発言を伝える資料は依然として量的に限られていること、(2)環境ブームとの関連で、アイヌ民族に「自然とともに生きる人々」という民族像を日本人の側から付与する傾向が著しいこと、などが確認できる。 6.来年度は研究代表者が佐賀大学に配置換となるが、備品設備の管理換を待って、2年めの作業を再開させたい。
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