(1)「レジームの近代化過程における学校・教会・国家」というテーマのもとに、(1)1760年代に教会主導の教育体制に対する批判の中から世俗的民衆教育論が登場した代表的教育論の理論的特徴、(2)フランス革命期の3つの段階のそれぞれにおける代表的な公教育改革構想、(3)執政政府期における反動化過程の中で、共和歴10年公教育法を経て、第一率政期にナポレオンが確立した「ユニヴェルシテ教育独占体制」の特徴を解明した。 (2)「学校の制度化力学における教会と国家」という観点から、復古王政期を3つに時期区分して、ユニヴェルシテ教育独占体制に対する教皇権至上主義者と自由派の反撃・ユニヴェルシの反教権的再編の動き、初等教育の法制化、「相互教授法」をめぐる教会と国家との対抗などについて究明した。 (3)「七月体制安定化としての教育編成」というテーマのもとに、次の問題を実証的に究明した。(1)公初等教育と社会の階層的構造化を実質的に推進しようとしたギゾー法の教育改革の基本構想、それ以後の補充措置、これらの諸教育改革の結果について解明した。(2)中等教育の自由の獲得闘争における「教育の自由」をめぐる議会内外の論争状況を詳細に追究した。(3)資本主義の発達と教育改革との連関的展開に着目し産業化の要請と民衆教育や職業教育の実態を解明した。 (4)「第二共和政期の教育改革の両極性」というテーマのもとに、カルノーの共和主義的教育改革の理念的大胆さとその挫折の背景、ルイ・ナポレオン大統領下の共和政における教権擁護的教育改革としてのファルー法の成立背景と立法議会における論争状況、さらにファルー法の内容と特徴について究明した。
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