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1992(平成4)年度は、(1)障害者の雇用問題および福祉問題に関係する文献や資料を幅広く収集して検討する、(2)外国の具体的事例や研究動向についての文献収集に努める、(3)関係する障害者団体や障害者個人からの聞き取りを行なう、(4)労働省、厚生省の行政担当者から聞き取り調査を実施する、という計画を立てた。
現在のところ、(1)と(2)については、予定どおりたくさんの関連した文献を入手することができたが、(3)と(4)については、島根県松江市の共同作業所によるパンづくりと販売の新たな取り組み、神戸市役所と「コープこうべ」の福祉プラン、第3セクター方式の重度障害者雇用事業所「阪神友愛食品」、生活協同組合と障害者共同作業所の事業提携活動、東京都中野区の「福祉オンブズマン」制度などについて、4度にわたる聞き取り調査を実施したが、まだ十分には目標を達成したとは言えない。
そこで、1993(平成5)年度は、可能なかぎり、障害者の個人生活を把握するために個別ケースごとの家計調査を中心とするアンケート調査を実施し、その結果をともに、雇用保障と生活保障の両面に関する障害者政策についての具体的な分析を行ないたい。その際、労働行政と厚生行政の両方から障害者政策をトータルに扱った調査がなされてこなかったという経過もふまえて、「福祉8法」の改正によって必要となった地域福祉計画の策定をめぐる動向などにも注目しながら研究を進めたい。
本研究は萌芽的研究であるので、障害者のニーズを家庭内での生活機能に限定せずに、労働や社会参加、街づくり、文化といった「地域の生活機能」(および、その担い手)の問題を加えて検討することで、「労働」を中心とした総合的な生活保障システムを構想したいと考えている。
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