変分的殻模型に基づいてエネルギー極小値や一粒子波動関数を決定するコンピュータ用プログラムを最終的に完成させた。核子間相互作用はデルタ関数及びその微分に限られるが、以前に行っていた数値計算と違って原理的には厳密に解けるようになった。変分的殻模型によって、極端な条件下にあるものも含めて、様々な原子核の構造を統一的に記述する研究を行ってきた。最も標準的なものの-つであるスキルム3型相互作用を用いて^<11>Be原子核の中性子ハロ-や異常基底状態を変分的殻模型で再現してきた。同じ方法で、質量数が10前後の原子核のエネルギー準位、電気的四重極モーメントや磁気モーメントなどの様々な性質の記述にも成功してきた。中性子過剰核における核子間有効相互作用を調べるために、ハートリーフォック法に基づく計算を行った。その過程で、中性子スキンの存在を予言し、その性質を議論した。変分的殻模型では中性子ハロ-が安定核の励起状態で自然に現れるが、それらの波動関数を中性子直接捕獲によって実験的に検証できることを示した。
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