今年度は、水平におかれた平面水槽(48cm×13cm×1cm)内の対流セル流れに関する実験を行った。その結果、関連するパラメータの値に依存して、通常の熱対流でみられるセル流れと異なる流れ模様が形成されることを見出した。 水槽の片側の下に、交互の上面極性をもつ角型永久磁石を13個一列に並べた。水槽両端に電極をおいた。3%の炭酸水素ナトリウム水溶液を電解質作業流体として用いた。電極間にd.c.電流を印加すると、電流と永久磁石による静磁場との相互作用によるローレンツ力のために、電解液が駆動された。磁極が交互におかれているので、流れの方向は側壁に向かう方向、側壁から離れる方向と交互になる。その結果、隣り合うものどうし違った回転方向をもつ一定の大きさの渦が側壁にそって一列に並ぶセル流れが形成された。ローレンツ力がある臨界値をこえると、ある渦は大きく成長し、他の渦は縮退して、大小の渦からなる特異なセル流れが形成されることが分った。このような流れは、通常の鉛直熱対流では見られないものである。さらにローレンツ力が増すとセル流れは乱流化することが分った。
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