研究概要 |
1.西方伝播サージのシミュレーションモデルの改良は、時間的制約から5年度へ延期し、今年度は、プロトタイプモデルと観測データとの比較検討を行ない、投稿中の論文の改訂に役立てた。 2.オーロラリップルを形成する主要因である、サブオーロラ帯の西向きプラズマジェットの発生機構を定性的に説明することができた。[JGR、1993年] 3.(1)磁気圏内に発生するダイナモ(電荷分離過程)と電離圏との相互作用をシミュレートできる2層(電離圏+磁気圏)の2次元粒子コードの開発は予定通り達成された。(2)研究代表者は、次に述べるような沿磁力線電流発生の新しいモデルを提案した。[Proc.NIPR Symp.,1993]『地球磁気圏の磁力線の開いた領域では、太陽風が磁力線を横切ることによって電荷分離が起こり(太陽風ダイナモ)、一次的な磁気圏内対流が発生すると考えられる。この一次対流が、プラズマシートの分布を変形させるため、磁気ドリフト及びボーム拡散が、プラズマシートを分極して、領域1・2の対になった沿磁力線電流分布を形成する。』この理論に従って磁気圏・電離圏結合モデルのシミュレーションで、電離層の電流分布を再現し、それが観測事実とよく一致することを示した。[STE研究連絡会、1992年9月]この理論は、従来の磁気再結合モデル、粘性相互作用モデルとは全く異なり、特に、一次対流によるプラズマシート変形のコンセプトは、新しいパラダイムとして磁気圏プラズマダイナミクスの理解にとって重要と思われる。(3)磁気圏・電離圏結合モデルのシミュレーションによって、沿磁力線電流発生からオーロラオメガバンド構造が自発的に形成されることを示した。[地球電磁気・地球惑星圏学会、1993年3月発表予定]
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