研究概要 |
(1)研究代表者は、次に述べるような沿磁力線電流発生の新しいモデルを提案した。[Proc.NIPR Symp.,1993]『地球磁気圏の磁力線の開いた領域では、太陽風が磁力線を横切ることによって電荷分離が起こり(太陽風ダイナモ)、一次的な磁気圏内対流が発生すると考えられる。この一次対流が、プラズマシートの分布を変形させるため、磁気ドリフト及びボーム拡散が、プラズマシートを分極して、領域1・2の対になった沿磁力線電流分布を形成する。』この理論に従って磁気圏・電離圏結合モデルのシミュレーションで、電離層の電流分布を再現し、それが観測事実とよく一致することを示した。さらに、太陽風起源の極域電位差と、磁気圏内ダイナモの電位的つりあいから、電離層電気伝導度と沿磁力線電流強度の関係式を理論的に導き、対応する観測事実を説明することができた。[地球電磁気・地球惑星圏学会、1993年10月]また、この理論の発展として、熱圏の中性大気によるダイナモ効果を考慮すれば、惑星間空間磁場が北向きの場合の領域1・2の沿磁力線電流発生の機構も説明することができ、従来未解決であった磁気圏プラズマダイナミクスの難問を解決に導きつつある。 (2)巨大振幅オーロラリップルの成因として、我々が理論的に予言していたアークシート(プラズマ密度の高い磁気殻)の存在を、人工衛星のデータにおいて同定することができ、リップル生成のシナリオがより明確になった。
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