研究概要 |
本課題は、まったく新しい着想のもとずく質量分析法を用いた非発光ラジカル等の活性化学種の計測法に関するもので、化学種にLi^+イオンを付加反応させ、Li^+付加Complexを作り、質量分析法によって検出する方法により、非発光ラジカルを含む総ての気相中低濃度ラジカルの計測システムの確立を目的とする。 本年度は主にCH_4/O_2の混合ガス系で実験を行った。一定流量12cc/minのCH_4(80)/O_2(20)の混合ガスを流し、MW放電によって生成した生成物の検出を行った。これらのピークを同定した後、分類した。主な結果を次に箇条書きにすると、 (1)CH_4/O_2で生成される化合物のうち、主なものは多くの含酸素炭化水素であり、これを分類すると C_nH_<2n+2>O,C_nH_<2n>O,C_nH_<2n>O_2(nは9にまでなる) (2)この分類に対して、最も可能性のある化合物は、アルコール、アルデヒド、カルボン酸類と考えられる。 (3)C_nH_<2n+1>Oと分類されたものは、酸素原子を含むfree radicalと同定した。 これらの結果を説明する。MWプラズマ内の反応スキームとして主な初期の反応として R+O_2→ROO(R:alkyl radical)が考えられる。これらのパーオキシラジカルの生成からROO+ROO→R-CHO+R-OH+O_2等の反応が進行するものと推測した。又、付加生成の難易さの度合いはLi^+affinityに依存するが、この化学定数を計算(MO法)で簡単に求める方法をフリーラジカルの定量法確立のために検討した。
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