アサガオの光周期的花成誘導に介在するとされる花成誘導物質の生物検定法として、 1)Ishiokaら(1990)の報告した茎頂のin vitro培養法、 2)その変法としてのin vitro培養-接木法、 3)新たに考案した潅流法の有効性を調べた。花成誘導したアサガオ芽生えの子葉から採取した篩管液をMurashigeとSkoogの培地に加え、アサガオ幼芽を移植し、連続白色光下で育てた場合、篩管液は有意に花成を促進した。活性は中性酢酸エチル可溶性画分に分画され、C_<18>Sep-Pakに保持され、ODSカラムクロマトグラフィーで20%メタノールによる保持容量200〜250mlの画分に分画された。しかし、これらの結果は常には再現しなかった。また、花成反応は弱く、対照区にも花芽が形成された。これらの問題点は、in vitro培養によるストレスと栄養生長の抑制に起因すると考えられたので、in vitro培養を短期間で切上げ、その後は、検定植物を他のアサガオに接木して育てた。この方法によって栄養生長は著しく改善されたが、対照区での花成は抑制されなかった。花成誘導活性は常には検出されず、検出された場合の花成反応も高まらなかった。in vitro培養を基本とした方法では検定植物への活性物質の取り込みが十分でなかったことが考えられたので、次に、採取した篩管液を検定植物の下胚軸切断面から加圧して送り込んで子葉を潅流し、試料をapoplastにpoolさせた。篩管液は花成を誘導したが、前述の問題点は改善されなかった。このように、本研究で試みた三つの生物検定法は、いずれも、花成誘導したアサガオ子葉から採取した篩管液中にある程度の花成誘導活性を検出した。しかし、どの検定法によっても、検定結果は再現性に乏しく、活性が検出された場合も花成反応は弱かったので、花成誘導物質を検出したとは結論できなかった。
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