研究概要 |
平成5年度の本研究によって,すでに公表された新知見等の成果に関しては, 1.北海道手稲鉱床より,新鉱物watanabeiteの発見 2.福島県八茎鉱床より産出するheyrovskyiteの鉱物科学 3.赤石山地北東端に位置する国界橋深成岩類のK-Ar年代 4.米国ミネソタ州スペリオール湖岸地域の先カンブリア時代に生成された可能性の高い変質鉱物とそれらの分布 5.山梨県乙女鉱床の鉱床学的研究とK-Ar年代にもとづく生成時期の推定 6.栃木県久良沢鉱床より産出する含バナジウムspessartineと含バナジウムallaniteの発見 等があげられる. 未公表のものを含めても,当初の目的である,島弧における火成作用から熱水鉱化作用に至る一連の過程での,有用元素の濃集や逸散について,熱水の挙動や役割を明らかにすることに対して,充分な考察はできない。しかし,プレートテクトニクスの立場から,活地熱系と比較しながら,それぞれの事象を以前よりいっそう正確に認識できるようになったと考えている。
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