研究概要 |
ラドンおよびその娘核種は人の生活環境中に存在する天然放射性核種であり、呼吸により人に放射線被爆をあたえる。ラドン娘核種は大部分、空気中のエアロゾルに付着した形で存在するが、短寿命核種である。^<218>Poの一部はエアロゾルに付着していないフリー成分として存在している。フリー成分は拡散係数が大きいので、呼吸により人の気管へ付着しやすく、被爆に大きく寄与する。これらラドン娘核種の被爆を評価するためには、1)空気中に存在する娘核種の核種別濃度、2)娘核種のフリー成分の割合の2点を知ることが必要である。本研究では^<222>Rn,^<218>Po,^<214>Pb,^<214>Biの核種別濃度をガンマ線スペクトロメトリとアルファ線スペクトロメトリにより測定する方法を開発した。これらの測定にあたってはエアロゾル濃度も測定し、その関係を調べた。まず、ラドンについては室温において活性炭捕集法を行い、それをガンマ線測定試料とする方法を開発した。ラドン娘核種についてはフィルターで捕集し、アルファ線測定とガンマ線測定を交互に行うことにより^<218>Po,^<214>Pb,^<214>Biの定量を行った。一方、フリー成分の測定のためには拡散チューブ法を応用した。^<218>Poのフリー成分を求めるためにこの方法が有効であることを示した。空気中ラドンの測定に加えて、人の生活環境に存在する水中のラドンの測定についても研究計画に加えた。この研究においても採取した水を直接ガンマ線測定試料とし、ラドンと娘核種との間に放射平衡が成り立つことを利用してラドンの定量を行った。ラドン濃度の低い水についてはトルエン抽出法を併用した。平成5年度においてはこの方法を応用して広島県下の地下水温泉水の測定を行う予定である。
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