研究概要 |
最近、消費者の欲求はますます多彩で個性的となり、その充足への猶予期間が性急化しているため、製品の多様化と短寿命化に対応できる一層柔軟な生産システムの実現が強く望まれている。そのためには、従来のように生産システムを自己完結する閉じた系として促え、それをトップダウン的に集中管理する統括型原理には限界があり、新しい発想に基づくブレークスルーが期待されている。 そこで、本研究では、将来の生産システムが具備すべき要件として自律分散,自己成長,調和的融合をあげ、その具体化のために生物の機能や生物社会の行動様式の優れた特性に注目し、それらを取り入れた生物指向型生産システムを提案するとともに、システムアーキテクチャのモデル化を行うものであり、本年度は次のような成果が得られた。 まず、生物の機能発現をDNA(遺伝子)型情報とBN(脳・神経系)型情報により分析し、これまで製品生産において考慮されなかった前者を陽に導入することの重要性を明かにした。 ついで、自律分散,調和的融合,自己成長を具体化する生物指向型生産システムの基本アーキテクチャを構築した。 また、生物の細胞分化から個体に至る形態形成のシナリオに学び、DNA型情報の構造化を行い、それに基づき、人工物製品を、単細胞型製品,多細胞型製品,融合型製品,変異型製品,共生型製品の5種類に擬生物モデル化しそのリアライゼーションを試みた。 以上のように、本年度の当初の目的はほぼ達成できた。本年度の成果をふまえて、引続き次年度も本研究を推進していきたい。
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