1.管内非平衡アルゴンプラズマジェットのプラズマパラメータ、励起特性および熱流体力学的特性のミラー磁場やカスプ磁場下での磁場分布の形状による相違とシーディングによる高機能化、さらには定性的な制御機構を実験的に明らかにした。得られた結果を要約すると、 (1)電子密度、電子温度やイオン速度は、ミラー磁場による制御が特に中心領域で容易である。 (2)原子の温度分布や速度分布は、磁場形状の相違によって、コイルへの供給電流が増加すると中心領域でミラー磁場下では温度上昇、増速するが、カスプ磁場下ではその変化量は小さい。 (3)ミラー磁場は、カスプ磁場よりもプラズマの各パラメータと強く相関しており、磁場制御に優れている。 (4)磁場下でシーディングにより電子密度が急増し、高機能化に有効である。 2.磁場下の管内非平衡プラズマジェットに関して、二温度モデルや三流体モデルを採用し、プラズマ粒子の機能性やプラズマ粒子間の衝突による相互干渉を考慮した基礎式を提示した。数値シミュレーションにより得られた結果を要約すると、 (1)プラズマジェットの外縁部から壁面近傍の領域では熱非平衡状態で、磁場を印加することにより各プラズマ粒子の温度が上昇し、その結果電離度も増加する。 (2)電子速度が重粒子速度に比べ速く、磁場により特に中心領域で大きく変化する。 (3)小さな磁場強度でも、電子を介した運動量およびエネルギー交換やジュール加熱量を増加させることができ、それらの変化はジェットの位置に依存する。 (4)各プラズマ粒子間の運動量およびエネルギー交換、またジュール加熱、再結合エネルギー、さらにプラズマ粒子の輸送係数の温度依存性や非等方性、質量の相違等の多機能性を有効利用することがプラズマジェットの磁場制御で重要である。
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