一様空気流中の回転円柱の熱伝達に関し、主流、回転、自然対流の各要素が複合する領域で実験を行い以下のことが明らかになった。(1)主流レイノルズ数が1000以上では自然対流の影響はほとんど現れない。(2)主流レイノルズ数が1000以上でさらに回転レイノルズ数以上では平均マセルト数は静止円柱の強制対流の値になる。(3)回転レイノルズ数Rerが主流レイノルズ数Redの2倍以上ではNum=0.055Rer^<0.7>(1+8Grd/Rer^2)^<0.35>の実験式で表わすことができる。(4)主流レイノルズ数が1000以下では回転レイノルズ数が主流レイノルズ数の2倍のとき最も熱伝達が悪くなる。ここで実機への応用を考慮した場合円柱表面の粗さは重要な問題となる。そこで、円柱表面に4種類の紙ヤスリを貼り粗さの影響を調べ以下のことが明らかになった。(5)自然対流域では、粗さによる影響は顕著には現われなかった。(6)複合対流域では平滑面に比べ粗い方が熱伝達が悪くなっている。これは、粗い方の温度境界層が円柱表面に粘りつくようになり、剥離点が後方へ移動するためと考えられる。(7)強制対流域では、粗い方が平滑面に比べ熱伝達がよくなっている。これはリブレットを持つ円柱と同じように境界層の制御が行なわれているためと思われる。ただし、粗さと熱伝達の相関関係があまりはっきりとはしていないので、これらのデータの分析および追加の実験が必要と考えている。また、今回の研究では低レイノルズ数域のみであるが、高速発電機などを考慮し、高回転レイノルズ数域の研究も必要と考える。
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