研究概要 |
本年度の研究成果は以下のようにまとめられる。 1.熱的ゆらぎに励起された表面波リプロンからの微弱な散乱光を検知するために,100μmの回折格子を用いた光ヘテロダインの光学系を設計・製作した。試料として常温の水とn-ペンタンを用いて実験した結果,リプロンからの散乱光信号を十分検知することができた。 2.液面へのレーザーの入射角や,使用する回折光の次数などについて,実験的検討を行い,垂直入射および±1次光が適切なことが明らかになった。 3.測定された散乱光パワースペクトルの中心周波数より表面張力が,半値幅より動粘性率が原理的に計算できることが確認された。 4.表面張力と動粘性率を算出する分散関係式について検討を加え,通常より高次の項まで考慮した式を使用しないと,特に動粘性率では10%以上の誤差を生じることがわかった。 5.回折光がよりシャープに液面上に投影されるように,高精度のアクロマートレンズを使用した光学系を試み,このことにより表面張力の再現性が向上することが確認された。
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